おちつけやお嬢さん

おちつけやお嬢さん

ご用意される(鋼の精神力)

セムPにとっての恩人にして元凶の話

もちづきです。

年末イベつらいです。こっちが怨霊になりそうです。

 

Jupiterの話をします。

まあ、タイトルがすべてなのですが。わたしはJupiterというアイドルを、S.E.M担当Pとして特別視しています。

だってさあ……アニエム5話……観た?観てないの?円盤貸そうか?端的に言っちゃえばそういうことですが一応ご説明を。

ほくほくと大学のテニサーで先輩後輩だった舞田くんが、Jupiterが961プロを辞めてライブする場所を探していることを知り、うちの高校の文化祭に呼ぼう!と計画。おそらく舞田くんの持ち前の行動力とコミュ力が功を奏したのでしょう、文化祭に無事Jupiterを呼ぶことができ、アイドルのライブに生徒は大興奮。それを見た硲先生は「生徒を導くのはアイドルだ!」と一念発起で辞表を提出。舞田くんと次郎ちゃんもついていき、11回目のアイドルオーディションでついに合格、3人は315プロへ。Jupiterの文化祭ライブは、言ってみればS.E.Mのはじまりなのです。

ところでこの話を最初に聞いた(というか読んだ)とき、どうしてそんなにJupiterが硲先生に刺さったんだろう、と思うところがぶっちゃけあったんですな。

 

よくよく考えれば、あらゆる意味でショックだったのでしょう。

というのも硲先生、それまではまったくアイドルへの関心も知識もなかったようなのです。突然TVのランキングの上位に現れ、げきつよな実力を見せつける。961時代の彼らは(黒ちゃんの工作こそあったかもしれませんが)まさにトップアイドルです。なのに硲先生はJupiterそのもの自体すら知らなかった。

硲先生、生徒とちゃんと話してたのかなあ。次郎ちゃんあたりは名前ぐらいは知ってそうだけど。

自分が名前も知らないような存在が、大切な生徒たちを駆り立てている。硲先生ほど生徒想いな教師なら、その状況に対する衝撃ももちろんあるだろうけど、それよりも自分が生徒の好きなものすら知らなかったことがめちゃくちゃ悔しかっただろうと思うのです。

 

もうひとつ衝撃だっただろうことを挙げるとすれば、Jupiterのメンバー構成でしょう。

Jupiter、最年長のほくほくをして20歳。最年少の翔太くんは14歳。そしてセンターにしてリーダー、天ヶ瀬冬馬は17歳。

圧倒的に若いのはもちろんですが。そのステージの真ん中に立つ青年は、彼の教え子と変わらない年頃でありながら、確固たる自分の意思や夢を持って歌い踊っているのです。志高い高校教師を殴るには充分すぎます。

さらに言えば、このあと硲先生は死ぬほどJupiterのことを調べ上げたと思うのですが、文化祭ライブの時空はJupiterが961プロを抜けたあとです。調べる過程できっとそのことも出てくるはず。生徒たちを熱狂させた若者たちが、その若さに釣り合わないような苦しみを乗り越えてあのステージに立っていたことを知るのです。

 

生徒を導くのは、教師ではなくアイドルだ。

辞表を出したときの硲先生の名言(迷言)ですが、これまで書いた考えうるショックを鑑みると、ただの迷言にも思えなくなるのです。

生徒を本当に理解してはいなかった自分への戒め。アイドルという職業ゆえの苦しみや悩み、それらを見せない彼らの輝き。

硲道夫という教師にとって、勉強とは、夢を見るために、そしてその夢を叶えるためにあるもので、それを手助けし、生徒に夢を持たせることこそ、彼の思う教師という職業なのだと思います。

アイドルという職業は、人々に夢を与える職業の頂点にあるようなもの。ならば、彼の目指すところはたったひとつ。アイドルです。

 

ここからは世迷言なのですが。

硲先生の誕生日は1月13日。大学入試センター試験はもちろん、私立中高の試験日にもぶつかることが多い日です。生まれた瞬間から、彼がやがて勉学に励むことが運命づけられているような日。

硲先生にとって一番ショックになっただろう冬馬くんの誕生日は3月3日。ひなまつり…もそうなのですが、高校生だったら、そろそろ卒業式が見えてくるころです。

新しい世界へ踏み出す生徒を見送る時期。そんなよき日に生まれたアイドルを追って、硲先生もまた新しい世界へ踏み出したのでしょう。知らんけど。それでは。